お祭りの広場でパチパチとはじける電球の光や、ビニールプールにたっぷり張られた水の冷たさ。子どもの頃に誰もが一度は夢中になったあの独特のスリルとワクワク感を、机の上にそっと広げて追体験できるような、すごく情緒的なイラストに出会いました。青く透き通る大きな水槽の中を、ひらひらと尾ひれを揺らしながら逃げ回るたくさんの小さな金魚たち。それを丸いポイを片手にじっと見つめている、夏の思い出がぎゅっと詰まったノスタルジックな作品です。
このデザインの面白いところは、静かな水面を表現するために計算された、波紋の美しい重なり合いが綺麗なラインで描かれている点です。水槽の底の方で素早く動く赤い金魚や、のんびり泳ぐ黒い出目金、そして水面に広がる涼しげな波の揺らぎまで、1本ずつの線がすごく均一で軽やかなタッチで表現されています。「破れないように優しくすくわなくちゃ!」なんて、あの時のドキドキする緊張感が今にも手元に伝わってくるようで、白い画面にどんな色彩を落とし込んでいこうかと考えるだけで胸が躍ります。
このみずみずしい水の世界に自分だけの色彩を重ねていくなら、今回は「透明な水の層(レイヤー)」を自分の手で作っていくような、ちょっと変わったアプローチを試してみるのが楽しそうです。例えば、水槽の水をリアルに見せるために、いきなり全体を青い色鉛筆でベタ塗りするのではなく、あえて大部分を真っ白なまま残しておきます。その代わりに、金魚の体の周りや、描かれた波紋の線の外側に沿って、ごく薄いアクアブルーやラベンダー色を細く影のように這わせてみてください。これだけで、光を反射してキラキラと輝く水の透明感がパッと画面に現れます。
水のベースができたら、主役である金魚たちには持っているなかで一番鮮やかでエネルギッシュな原色を効かせてあげましょう。お馴染みの赤い金魚には、朱色やマゼンタを何度も優しく重ねてぽってりとした立体感を出し、出目金には深いチャコールグレーのなかにほんの少し紫みを混ぜてあげると、お祭りの夜の怪しげなツヤが綺麗に再現できます。仕上げにポイの白い紙の部分をうっすらと透けるような薄いグレーで縁取ってあげれば、水の中から金魚がパッと浮き上がってくるような臨場感あふれる1枚が完成しますよ。


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